作業を始めるその前に。

実際の制作作業に入る前にindex.html、js/sampleClock.jsの中を覗いておきましょう。見た目や構造を勝手に用意していますので、それの説明をします。本ガイドブックはこの構造をベースに説明していきますので、釈然としない部分があっても片目をつむってください。我慢ならない場合は逸脱してもいいですよ。

index.html

<canvas id="board"></canvas>
<canvas id="time"></canvas>

それぞれにid属性を振ったcanvas要素を二つ用意しています。id属性boardのcanvas要素を文字盤用に、id属性timeの方のcanvas要素を時計の針用に使うもくろみです。一つのcanvas要素に文字盤、針両方を描画してもいいのですが、時刻を更新する度に毎回毎回文字盤まで再描画するのが無駄に思えたので切り分けてみました。

この二つのcanvas要素は同じ大きさで重なって表示されるように調整します。

Warning

canvas要素の大きさの調整はJavaScriptで、表示位置の調整はCSSで行います。

Note

今回は13行という驚き(?)の短さです。その分、JavaScriptの方で頑張りますよ :-)

js/sampleClock.js

function SampleClock() {
    try {
        this.board = document.getElementById('board');
        this.boardContext = this.board.getContext('2d');
        this.canvas = document.getElementById('time');
        this.context = this.canvas.getContext('2d');

        this.draw_board();
    } catch (e) {
        alert('initialize error...');
    }
}

SampleCalcのときと同じく、まず最初にnewを使って呼び出される事を想定したコンストラクタ関数を用意しています。二つのcanvas要素を操作できるように内部変数を初期化しています。最後に文字盤を描画する事を想定しているメソッドを呼び出します。

  • board

    文字盤用のcanvas要素を保持する。

  • boardContext

    文字盤用のcanvas要素を操作するための2Dコンテキストを保持する。

  • canvas

    時計の針用のcanvas要素を保持する。

  • context

    時計の針用のcanvas要素を操作するための2Dコンテキストを保持する。

Note

newで何が起こっているかは、作業を始めるその前に。 — SampleCalc work guide 1.1 documentationで少し触れているので参考にしてください。

コンストラクタ内でエラーが発生する場合alertを出すようにしています。はい、try-catch使いたかっただけです……。

次にprototype継承を用いて値を返したり処理を行ったりするメソッドの定義が行われています。これらのメソッドは私が試作の段階で想定したもので、canvas要素の大きさ、ラジアン値の算出、文字盤や針を描画するメソッドなどがあります。

SampleClock.prototype = {
    width: function () {
    },
    height: function () {
    },
    radius: function () {
    },

    toRad: function (angle) {
    },
    hourRad: function (datetime) {
    },
    minuteRad: function (datetime) {
    },
    secondRad: function (datetime) {
    },

    draw_time: function () {
    },
    draw_board: function () {
    }
};
  • width()

    canvas要素の横幅の値を返すメソッド。ブラウザのウインドウの表示領域一杯に拡げるのでウインドウの横幅と同値となります。

  • height()

    canvas要素の縦幅の値を返すメソッド。ブラウザのウインドウの表示領域一杯に拡げるのでウインドウの縦幅と同値となります。

  • radius()

    canvas内に描画する円の半径を返すメソッド。横幅、縦幅の短い方を1/2した値にします。

  • toRad(angle)

    渡された角度(angle)に対するラジアン値を返すメソッド。

  • hourRad(datetime)

    渡されたDateオブジェクト(datetime)を元に短針が差すべき位置への0時からの角度に対するラジアン値を返すメソッド。

  • minuteRad(datetime)

    渡されたDateオブジェクト(datetime)を元に長針が差すべき位置への0時からの角度に対するラジアン値を返すメソッド。

  • secondRad(datetime)

    渡されたDateオブジェクト(datetime)を元に秒針が差すべき位置への0時からの角度に対するラジアン値を返すメソッド。

  • draw_time()

    現在時刻を元に時計の針を描画するメソッド。

  • draw_board()

    文字盤を描画するメソッド。

Note

SampleClock.width()SampleClock.height()SampleClock.radius()が返す値は、2つのcanvas要素の大きさが同じなので共通となります。

Note

今回のキモはCanvasでもJavaScriptでもなくてラジアンかも知れません……。

var clock = new SampleClock();
var timer;

function tik() {
    clock.draw_time();
    timer = setTimeout('tik()', 1000 / 60);
}

function tok() {
    clearInterval(timer);
}

//tik();

最後に、SampleClockオブジェクトのインスタンス化とタイマー保持用の変数宣言、継続的に描画を繰り返すように記述されたtik()関数とそれを解除するtok()関数があります。始めの方では継続的に実行する必要はありませんので、コメントアウトして実際には動作を開始しないようにしています。その時が来たらコメントから解放して上げましょう。

Note

継続的に処理を実行するために今回はsetTimeout()関数を用いました。この関数は、第一引数で与えられた関数名に表される関数を第二引数で与えられた時間後に実行します。第二引数の時間の単位はミリ秒です。つまりSampleClockは描画処理が終えると、再度1/60秒後に描画を始めそれを繰り返す事になります。処理時間がかかりますので厳密には1/60秒には届かないなんちゃってですが、夢の1イント駆動です :-)

ちなみに、setInterval()関数を使えば処理を終えるのを待つ事なしに1/60秒毎に処理を繰り返せますが、処理が間に合わない場合はどんどんと積み重なって行く事になりエラい目に合う可能性があります。処理速度に自信のあるコンピュータを使っている方は試してみるのもいいかも知れませんね。

これで準備は整いました。さぁ、本日の学びポイント、Canvasを知るところから始めましょう!

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仕様をイメージしよう。

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Canvasってなんだろう。

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